ナンバーズの日常
正直なところ、僕は女性にモテます。おそらく読者の皆さんが想像しているより遥かに。そしてそれを認められる自分のことが大好きですw
最近、やっとスタイリストとしてデビューしたのですが、お客様からの人気が止まることを知りません。
僕のファンクラブが存在しているくらいには人気なので、周りの美容師からも嫉妬の嵐です。僕のファンクラブにはいつの間にか「ナンバーズ」という名前がついていて、会員の皆には「出会った(=初めて髪を切った)のが早い順」に正数の番号が振られています。
ちょっと面白いのは、彼女たち自体が自分たちの番号をはっきりわかっていなくて、どの番号が一番偉いだの気に入られているだのを真剣に話し合っていることです。それにどれだけ意味があるかは僕にもわかりませんw
だから、本当は番号の大きい小さいに意味なんかないのですが、皆の欲求をうまく満たせるように僕は毎日うまく立ち回っています。ちなみにナンバーズの中には同時に施術したため同じ番号を与えている子もいたりします。
試しに、ちょっと愉快な彼女たちと僕の会話の一部始終をお見せしましょう。僕の華麗な女性のマネジメントをご覧くださいw
小岩ヒロミ
ヒロミは僕もかなり気に入っているナンバーズです。ヒロミも自分自身が一番可愛いという自覚がある様で、よく他の会員達との比較をしようとしてきます。そんな時、彼女はこのようにいうと喜んでくれます。
「ヒロミがナンバーズの中で一番大きな数を持ってる。つまり、一番新しいってことだよ。古いより新しい方がいいに決まってる。」
中川アリサ
アリサは自分に自信がありません。僕とは真逆だから、そういう意味では一番アリサをいいなと思っています。彼女はある意味特別な存在かもしれません。アリサはミヤの後輩で、「ミヤと番号が続いていると気まずい」と相談してきます。なぜ気まずいのかは正直わかりませんw
「ミヤの髪を切ってからアリサの髪を切るまでの間に、一人別の子の髪を切ったから君たちは連番じゃないよ。20番代のアリサは特別なんだから、もっと自信を持って!」
駒田メグミ
メグミはヒロミとドレミにいつもくっついている金魚のフンのような存在です。何をするにも二人の真似をしようとしている様で、僕がいるこの美容院に来たのもその影響だと思います。だからこそ、メグミにはうってつけの言葉があります。
「ヒロミとドレミの数を足して2で割ると君のナンバーになるよ。本当に仲良しだね。」
狭山リカ
リカは何を取っても普通の女の子です。普通すぎて彼女になんて言ったら喜ぶのかわからないのが本音ですが、おそらく何をいっても言わなくても、彼女が僕を好きでいてくれることは変わらない気がします。
「君の番号はナンバーズに割り振られた番号の中でちょうど真ん中です。」
前川ミヤ
ミヤは自分の番号になんて興味がなくて、ただドレミとリカに勝っていれさえすればいいという強気な女の子です。逆にいうと、なんとなく勝っている感じを出してあげるだけで喜びますw
「ドレミとリカのナンバーを足すと、ちょうど君と同じだよ。」
梵ドレミ
ドレミは根暗でいつもスマホを触っていますが、容姿は人一倍綺麗です。一応ヒナの友達のようで頻繁にお店に一緒にやってきますが、喋っているところは見たことありません。最近は少し落ち込んでいる様子でしたが、僕は理由に心当たりがあったので精一杯励ました。
「ヒナより4人も早くなってしまったことがそんなに後ろめたい?大丈夫、君のナンバーは、僕の野球部時代の背番号 "8" だから、縁起がいいんだよ。」
僕がそういうと彼女はぶつくさ言いながらスマホをいじっていました。
葛城ヒナ
実は、ヒナはドレミが嫌いです。この間もドレミの垢名がそのまますぎてバカ丸出しだと嘲笑していました。絶え間なく悪口が続くので僕も嫌気がさしています。その上、どうしても自分の番号が知りたいというので僕は軽くあしらいました。
「君はナンバーズ全体の中では、どちらかというと遅く髪を切りに来た方だよ。」
もちろん、他にもナンバーズはいるけれど、今日紹介した彼女たちが一番僕を笑わせてくれます。
ありがとうナンバーズ。明日からも営業頑張りまっす!